解説

　スペイン、フランス、メキシコなどさまざまな国で映画を撮り続けた、シュルレアリスムとエロティシズムの巨匠ルイス･ブニュエル監督による文芸作品。あえてBGMを使用せず、現実とスクリーン内を混在させるような手法で退廃的な女性心理を描く。主演のカトリーヌ･ドヌーヴはまさにはまり役で、淑女と娼婦のふたつの顔をもつ女性を見事に演じている。

物語

　外科医ピエール（J・ソレル）の妻である淑女セヴリーヌ（C・ドヌーヴ）は、幼い頃からくすぶっていた内心の情欲に勝てず、昼間だけの娼婦となった。娼館の女主人のアナイスに「昼顔」と名づけられ、昼と夜でまったく別の顔を持ちながらも内心充実した日々を送るセヴリーヌ。だが、やがて彼女は罪悪感にさいなまれはじめ、さらにマルセルという粗野な男が彼女につきまとってくる。

こぼれ話

芸術家肌の監督として有名なブニュエルだが、本作ではチラッと出演していてその姿を見ることができる。ブーローニュの森で貴族の男性が馬車から降りるシーン、その横のオープンカフェにいる男性がそれだ。