解説
ニューイングランドの美しい湖畔を舞台に、父と娘のすれ違いを描く家族ドラマの傑作。原作はブロードウェイの同名の戯曲。娘役のジェーン・フォンダは、実際に不仲であった実父のヘンリーのために原作の映画化権を買い取ったとされる。また本作は、ヘンリー・フォンダとキャサリン・ヘプバーンという二大俳優の、最初で最後の共演作でもある。第54回アカデミー主演男優賞(ヘンリー・フォンダ)、主演女優賞(キャサリン・ヘプバーン)、脚色賞を受賞。
物語
元大学教授のノーマン(H.フォンダ)とその妻エセル(K.ヘプバーン)は、湖畔の別荘で夏を過ごしていた。そこに、ひとり娘のチェルシー(J.フォンダ)が父の80歳の誕生を祝おうとやってくる。離婚歴のあるチェルシーは、婚約者ビルとその連れ子ビリーをともなっていた。チェルシーは長年不仲であったノーマンと打ち解けようとするが、どうしてもかみ合わない。さらにノーマンは、ビルに対しても皮肉を言う始末。そしてチェルシーとビルは、ビリーを老夫妻に預けてヨーロッパ旅行へと旅立ってしまう。
こぼれ話
ジェーン・フォンダが12歳の時、実母のフランシスが精神を病んで自殺した。その原因が父ヘンリーの浮気であったことを知って以来、ジェーンは父と反目しあっていた。俳優として成功したのちも、父に関して攻撃的な言動を繰り返し、お互いに和解の機会を逃したまま時が過ぎていった。やがてジェーンは、人気と名声のわりにアカデミー賞に恵まれない父ヘンリーのために、この作品を用意する。物語終盤、チェルシー(ジェーン)がノーマン(ヘンリー)に「友達になりたい」と語りかけるシーンで、ジェーンは本番で突然ヘンリーの手を握った。ヘンリーは動揺し、涙を見せて横を向いてしまったという。ヘンリー・フォンダは本作で初めてアカデミー主演男優賞を受賞し、その5カ月後に亡くなった。