解説
本国イタリアでの公開当時こそ興行成績は振るわなかったものの、アメリカや日本など海外で大ヒットした、ノスタルジックなヒューマンドラマの傑作。1989年にカンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞している。
物語
ローマに住む映画監督のサルヴァトーレ(J・ペラン)は、故郷シチリアの母から「アルフレードが死んだ」という報告を受け、少年時代を回想する。戦争で父をなくし、母と妹と暮らす少年時代のサルヴァトーレ(愛称トト)。映画好きな彼は、母の目を盗んでは映画館「パラダイス座」に通う日々が続いていた。トトは何度も映写室に潜り込もうとするが、そのたびに映写技師のアルフレード(P・ノワレ)に追い返される。そんなふたりの間に、次第に映画を介した友情が芽生えていく。
こぼれ話
ロケ地となったのはシチリア島の内陸にあるパラッツォ・アドリアーノ村。少年時代のトトを情感たっぷりに演じたサルヴァトーレ・カシオは、この村の名士の子息で、現在は父親の所有する同村のスーパーマーケットの店長をやっている。映画への愛は作中のままのようで、仕事の傍らで短編映画を製作したりしているそうだ。