解説
小さな島の別荘で夏を送る老姉妹のささやかな日常生活を淡々と描く。ハリウッドの名優達による老練な演技で、味わい深い作品になっている。サラを演じたリリアン・ギッシュがカンヌ国際映画祭特別賞を受賞した。
物語
サラ(L・ギッシュ)とリビー(B・デイヴィス)の姉妹は60年の間、毎年夏になるとメイン州の小さな島にあるサラの別荘で過ごしている。島の入江には8月になると鯨がやって来て、少女の頃の彼女たちは鯨を見に駆けて行ったが、それも昔のことになった。サラの夫は第一次大戦で戦死。悲しむサラの面倒を見ていたリビーだったが、その後、病気で目が不自由になり、今度はサラが二人の生活を支えていた。別荘には幼馴染みや修理工、近くに住むマラノフ(V・プライス)らが訪ねてくるが、目の悪いリビーは無関心を装う。
こぼれ話
製作当時、L・ギッシュ91歳、B・デイヴィス79歳、ヴィンセント・プライス76歳、アン・サザーン78歳、H・ケリー・Jr66歳という高齢俳優の共演でも話題になった。L・ギッシュは本作が105本目、B・デイヴィスも100本目の映画出演作だった。監督のリンゼイ・アンダーソンは、小津安二郎に影響を受けており、ドキュメンタリー作品『小津と語る』にも出演している。
― 「八月の鯨」画面サイズについてご案内とお願い ―
本作品は、スタンダード・サイズで撮影されたフィルムの上下にマスクをかけて、ビスタ・サイズで上映されるように撮られています。権利元から送られてきた素材もビスタ・サイズでございます。
過去、スタンダード・サイズでフィルム上映された実績があるようですが、今回は製作者側の意向を尊重し、ビスタ・サイズで上映いたします。