解説
35歳で死去したエコール・ド・パリの異色画家、アメデオ・モディリアーニの伝記映画。監督・脚本をジャック・ベッケルが担当し、彼の代表作になった。ジェラール・フィリップがモディリアーニの苦悩と悲運を見事に演じている。ジャンヌ役のアヌーク・エーメは清純な美しさで人気を博し、悪魔的な画商・モレル役を演じたリノ・ヴァンチュラも、強烈な印象を残す。
物語
1917年のモンパルナス。青年画家・モディリアーニ(G・フィリップ)はどん底の生活の中にいた。肺結核に冒され、麻薬と酒におぼれながらも、友人のズボロフスキーらに支えられ創作に取り組んでいた。ある日彼は、ジャンヌ(A・エーメ)という画学生と出会い、激しい恋に落ちる。ジャンヌはモディリアーニの元へ来ると誓うが、彼女の父は許さなかった。傷心のモディリアーニは体調を悪化させ、療養の為に南仏ニースへ移される。その彼の元に、家出したジャンヌが現れるのだが――。
こぼれ話
モディリアーニを演じたG・フィリップは、1940年代後半から50年代のフランス映画界で活躍した。その際立った美男子ぶりと高い演技力が評価されており、『肉体の悪魔』(47)で世界的な人気を得た。1953年に日本で開催された「フランス映画祭」の為に来日、熱狂的に迎えられた。だが『モンパルナスの灯』に主演した翌年、肝臓がんで永眠。奇しくもモディリアーニと同じ、36年の生涯だった。