解説
『ローマの休日』の名コンビ、ウィリアム・ワイラー監督とオードリー・ヘプバーン主演によるロマンティックコメディ。贋作画家の一人娘と正体不明の謎の男が、警戒厳重なパリの美術館からヴィーナス像を盗み出す計画を立てるうちに恋におちて…。オードリーが着こなすジバンシーデザインによるシックな衣裳の数々が見どころ。音楽は『ジョーズ』『スター・ウォーズ』で有名になる前のジョン・ウィリアムズが担当。
物語
美術品収集家として知られるシャルル・ボネ。実はすご腕の贋作画家で、自分で制作した偽美術作品を好事家に売るという裏稼業に手を染めていた。一人娘のニコル(A・ヘプバーン)は父に贋作作りをやめるように忠告するが聞く耳を持たないばかりか、贋作の「チェリーニのヴィーナス像」を美術館に貸し出してしまう。そんなある夜、ボネの屋敷に一人の男が忍び込む。たまたま居合わせたニコルに見つかった男はシモン(P・オトゥール)と名乗る泥棒だった。ニコルは見逃すかわりに、シモンにヴィーナス像を盗み出すように依頼する。
こぼれ話
アメリカ人富豪のリーランド役は、当初は『ハスラー』(61)でバート役を演じたジョージ・C・スコットに決まっていたのだが、撮影初日のトラブルで急きょイーライ・ウォラックに変更になったという。また、数々の名車が登場することでも有名な本作。ヘプバーン演じるニコルが乗る赤色のかわいらしい車は、フィアット500をベースにした大衆車アウトビアンキ・ビアンキーナを、カブリオレ・スタイルにした特別仕様車(エデン・ロック)だ。