解説
大島渚監督が、戦時中の捕虜収容所を舞台に日本兵と英国兵の愛と憎しみ、東洋と西洋の文化と価値観の衝突を描いた戦場ドラマ。世界的ミュージシャンとして不動の地位にあったデヴィッド・ボウイ、YMOのメンバーであり日本を代表するミュージシャンの坂本龍一、そして漫才師として人気絶頂だったビートたけしの共演という奇跡的なキャスティングも大きな話題となった。
物語
ジャワ島・レバクセンバタの日本軍捕虜収容所。朝鮮人軍属とオランダ兵の情交を知った軍曹のハラ(ビートたけし)は、通訳扱いの捕虜・ロレンス(トム・コンティ)の立会いのもとで軍属に自死を命じた。その後、ハラとロレンスの間には不思議な友情が芽生えていく。一方、収容所長のヨノイ大尉(坂本)は、軍律審判で英国陸軍のセリアズ少佐(D・ボウイ)が裁かれる場に立ち会い、その後セリアズは収容所へと送られてくる。ヨノイはひと目見たときからセリアズに魅せられ、激しい葛藤のなかで抑えきれない感情に苛まれていく。
こぼれ話
当初、この企画はR・レッドフォード主演で話が進んでいたが、スケジュールの都合などで破談となった。このため話題性を欠き、製作費集めに難航した。結局資金の半分はニュージーランドの投資銀行が担うことになり、撮影も同国領の島で行われた。また主演のD・ボウイは、メイキング映像のためのカメラが入ることを拒絶し、大島監督もこれを支持した。そのため、本作の制作中の映像は一切残されていない。そのボウイによれば、大島監督は日本人キャストには事細かに演技指導したが、英国人キャストに対しては好きなようにやらせていたという。