解説
フランソワ・トリュフォー監督屈指の恋愛ドラマ。第一次世界大戦前後のフランスを舞台に、親友同士の二人の青年と一人の女との不思議な三角関係を描く。美しく自由奔放なヒロイン、カトリーヌを演じたジャンヌ・モローの魅力が圧倒的。鮮烈なモノクロ撮影は『勝手にしやがれ』のラウール・クタール。音楽はトリュフォーと名コンビと謳われたジョルジュ・ドルリューが担当。
物語
パリ・モンパルナスで出会った、オーストリアの青年ジュール(O・ヴェルナー)とフランス青年のジム(H・セール)。文学青年だった2人はすぐに打ち解け、友人となった。彼らはある時、カトリーヌ(J・モロー)という女と知り合う。彼女に夢中になった2人は、カトリーヌと3人でのデートを繰り返すようになる。やがてカトリーヌはジュールと結婚する。ジムは出版社と契約し作家生活の第1歩をふみ出す。やがて第一次世界大戦が始まり、ジュールとジムはそれぞれの国の軍人として戦場へ赴くことになる。そして歳月は流れ…。
こぼれ話
ヌーヴェル・ヴァーグの旗手として名高いトリュフォーとゴダールは、本作が公開された62年前後は蜜月期にあり、お互いの作品制作を気遣いつつ協力しあう間柄であった。本作の原題は『Jules et Jim(ジュールとジム)』というのだが、本作の前年に公開されたゴダール監督作品『女は女である』の作中で、カメオ出演したJ・モローにJ=P・ベルモンド演じるアルフレードが「ジュールとジムはどう?」と尋ねるセリフがある。また、モロー演じるカトリーヌがセーヌ川へ飛び込むシーンでは、女性スタントがふたりとも拒絶したため、やむなくモロー自身が飛び込むことになったという。