解説
1987年制作の西ドイツ映画。不安定なアングルや不思議な色合いの映像の中で繰り広げられる物語は、公開当時、世界各国で話題となった。ジェヴェッタ・スティールが歌うテーマ曲「コーリング・ユー」は、アカデミー賞最優秀主題歌賞にノミネートされ、80組を超えるアーティストがカバーするヒット曲となった。1994年には〈完全版〉がリバイバル上映され、2008年には、パーシー・アドロン監督が全てのカットの色と構図を調整し直した〈ニュー・ディレクターズ・カット版〉を製作。カンヌ国際映画祭で上映された。(今回の上映は、2008年のニュー・ディレクターズ・カット版です)
物語
ドイツからの旅行者ジャスミン(M・ゼーゲブレヒト)は、アメリカ旅行中に夫とケンカし車を降りてしまう。ラスベガス郊外のモハーヴェ砂漠の中にあるさびれたモーテル兼カフェ兼ガソリンスタンド《バグダッド・カフェ》にたどり着いたジャスミンは、しばらく逗留することにした。しかし、ここには不機嫌な女主人のブレンダ(CCH・パウンダー)や、カフェの敷地に住み着いたルーディ(J・パランス)など、変わり者ばかりが集っている。だが、心優しいジャスミンの行動に影響を受けたのか、皆の心が少しずつ変化していく。
こぼれ話
本作の舞台となる「バグダッド・カフェ」は、モハーヴェ砂漠を突っ切る旧ルート66沿いに実在する。撮影は、実際にこのカフェやモーテルなどで行われた。現在は、印象的な給水タンクやモーテルこそなくなってしまっているが、カフェは今でも営業しており、世界中から本作のファンがやってくる〈観光スポット〉になっているという。