解説
1989年、世界的な文学賞・ブッカー賞を受賞したカズオ・イシグロの同名小説の映画化。ある侯爵に仕える執事スティーヴンスは、共に屋敷で働く勝気な女性ケントンと対立を繰り返していたが、二人の心には互いへの思慕が芽生えていた。だがある日、ケントンに結婚話が持ち上がり、スティーヴンスは激しく動揺する―。
物語
1958年。オックスフォードにある英国貴族ダーリントン卿(ジェームズ・フォックス)の邸は、卿が亡くなった後、米国の名士ルイス(クリストファー・リーヴ)の手に渡っていた。かつて政府要人や外交使節で賑わった邸だが、使用人たちは去り、老執事スティーヴンス(アンソニー・ホプキンス)だけがルイスに仕えていた。ある日、女中頭だったミス・ケントン(エマ・トンプソン)から手紙をもらったスティーヴンスは、彼女の元を訪ねることに―。
こぼれ話
ロンドン在住の原作者カズオ・イシグロは、1954年、長崎生まれの日系イギリス人。1989年、35才で「日の名残り」がブッカー賞を受賞し、イギリスを代表する作家に。4年後の映画化もアカデミー作品賞以下8部門にノミネートされ、高く評価された。昨年2017年にはノーベル文学賞を受賞し、一際大きな注目を集めた。イシグロ原作の映画化は他に『わたしを離さないで』(10)があり、同作は我が国では綾瀬はるか主演でTVドラマになった。