解説
しがない端役人生を歩んでいた一人の男が書いた、自作自演の低予算映画に全世界が燃えた。自身の人生を投影させた負け犬ボクサーの不屈の闘志、貧しい裏町に生きる人々の人情を繊細に描き、その男、S・スタローンは一気に映画界のトップへ躍り出た。アカデミー作品賞、監督賞はじめ、内外の各賞を総なめに。ビル・コンティ作曲の「ロッキーのテーマ」は、朝、出かける前に聴くとグッと気合いが入ること充分のパワフルなナンバー。
物語
世界ヘビー級チャンピオンの黒人ボクサー、アポロ・クリード(カール・ウェザース)が話題作りのため、無名選手と戦うことを宣言した。指名されたのは、ボクシングだけでは生活できずに、高利貸しの取立バイトで日銭を稼いでいた三流ボクサーのロッキー・バルボア(シルヴェスター・スタローン)。かくして親友の妹にして恋人のエイドリアン(タリア・シャイア)やトレーナーたちに支えられながら、ロッキーの過酷なトレーニングが始まった。勝利するのは、チャンピオンか、それともロッキーか?!
こぼれ話
本作の撮影はステディカム(移動撮影用カメラ)を本格的に導入し、市内ロケも小規模のクルーで行われた。果物屋の店主からリンゴを投げ渡されるシーンがあるが、映画の撮影と思わずに本物のボクサーと勘違いした店主が投げたハプニングで、台本にはないものだったという。また、メイク代を節約するため、負傷したロッキーの特殊メイクを少しずつはがし、最終ラウンドから第一ラウンドへ逆順に撮影するというユニークなやり方がとられている。